五話
五話 少女達と少女達




ハァハァ―


何だ?
呼吸が苦しい。


またこの家だ…
火事になっている。
外へ逃げなくちゃ。



「レン、貴方は生きるのよ。」



あなたは誰?
私に何をしたの?



ドタドタ―

「見つけたぞ!」


その人は黒い銃を持っていた。

逃げて!!


「撃てぇ!」

   バン!!!







錬「はっ。」


ゴン!


錬「痛っつ〜。」



前にも同じようなことが
あったような…。



「痛い痛い痛い。」



ん、
この声は初めて聞くな。

誰だろう?



錬「とりあえず、ごめんなさい。
えーと…。」



「バカ!」


バタン!!


錬「…あちゃー。」



色々とやらかしてしまったようだ。
後でちゃんと謝ろう。



ガチャッ。

稲瀬「あら、起きてたの錬。
さっきリュカーがとんでもない速さで壁に激突したんだけど心当たりあるかしら?」



錬「あの子リュカーっていうのね。
今後一切私が寝ている時は頭を近付けないようにした方がいいわ。
最悪、前頭葉が陥没する。」



稲瀬「あら、この間の私の二の前になっちゃったのね。」



どうしてこうも寝起きに
飛び起きなきゃならないのか。



錬「ちょっと休んで体が軽くなったみたい。
そろそろ時間よね。」



稲瀬「ええ。
案内するから来てちょうだい。」





食堂は地下一階にあった。


円いテーブルに7人分の
椅子が用意してあり、館長と千代女、もう二人錬の知らない少女がすでに座っていた。


リュカーの姿が見当たらない。



稲瀬「リュカーはまだ来てないのかしら?」



アレイスター「そのようだね。
奈波、探してくれ。」



その奈波と名乗る少女は
さも面倒臭そうな顔をして水を入れてあるグラスを
スプーンで軽く叩いた。
チーンという音が部屋に響く。



「この階の東にいるよ。」



アレイスター「私が行こう。
君らは雑談でもしているといい。」



そう言うと館長は食堂を
後にした。








「お前名前は?」



錬「錬よ。」



「苗字ないのか?」



錬「生憎覚えてないわ。
あんたは確か…。」



「奈波、
橘奈波(タチバナ ナナミ)よ。」



稲瀬「奈波はね、波動を操るのよ。」



錬「波動?」



奈波「ま、簡単に言うと
『波』だ『波』。
音がどうして聞こえるか分かるか?」



錬「耳がついてるから。」



稲瀬「クスッ。」



奈波「空気が振動しているからだ。」



錬「さっきのはその空気の振動でリュカーを探したのね。」



奈波「何だ分かるじゃねーか。
ところでお前には何が出来るんだ?」



錬「錬金術ってとこかしら。」



奈波「ほう、面白い。
何かやってみてくれ。」



錬「何かって、何よ。」



奈波「そうだな、派手なのがいい。
このグラスの水を分解して水素と酸素出して、また
くっつけてみろ。」



錬「水素爆発ね。
…無理よ。
私も風呂場でやってみた
けど分解することしか
出来なかったわ。」


ふと稲瀬はもう一人の少女に目を向ける。


稲瀬「月花。」



少女は立ち上がり、
おもむろに自己紹介を始める。



「初めまして錬、私は
鏡水 月花(カガミ ゲッカ)
といいます。

貴方は恐らく金属が絡んでないと上手く錬金術が
使えないのでは?」



そう言うと月花は魔方陣を出現させる。



奈波「久しぶりに見たな。」



稲瀬「錬、よく見てなさい。
これが『世界と契約』した魔術師の力よ。」


錬は目を光らせる。

月花はその魔法陣の中から鉄の鎖を引きずりだした。



・・・。


錬「…。」


稲瀬「…。」


奈波「…。」


千代女「zzz…。」


月花「…?」



奈波「まあ、あれだ。
出すものがショボすぎた。」



月花「私なんか間違えました?」



稲瀬「いいえ。
私達が期待しすぎてしまっただけ。」



錬「で、
この鎖をどうしろと?」



月花「酸化さしてもらえればいいですよ。」



酸化…サビさせればいいのか。


稲瀬「あまり力を入れすぎないでね。
貴方が本気を出すと火事になりかねないわ。」



よし。
と錬はその鎖に触れる。


すると、
一瞬にしてその鎖は黒く
変色した。



錬「あれ?
イメージしてたのと違う。」


錬がイメージしていたのはもっとサビきってボロボロになった鎖だったが…。



月花「なるほど、
四酸化三鉄ですね。

酸化が思ったよりゆっくり進んだみたい。
力を抑え過ぎたんですよ。」



奈波「ははっ、何とも不器用な錬金術師だな。」



錬「余計なお世話よ。」



アレイスター「おお、盛り上がってるようだな。
全員そろってるか?」



稲瀬「千代女、起きなさい。」


稲瀬は千代女の肩を叩く。


ガタッ

千代女「くせもの!!」



千代女「…は、いないみたいです。
姉上。」



稲瀬「私に振らないでよ。」


アレイスター「おはよう。」



千代女は赤くなる。



千代女「かたじけない…。」



よく見ると館長の右手は
リュカーの襟を掴んでいた。
どうやら引きずってここまで持ってきたらしい。


リュカーは若干涙目だった。



アレイスター「とりあえず席に着け。」


リュカーは立ち上がり、仕方なく椅子に座る。



アレイスター「とりあえず…だ。飯の前に改めて自己紹介をしよう。

錬、君が一番だ。」



私か。
まあ、新入りだからな。



錬「私は錬といいます。
錬金術を扱う程度の能力です。
えーと、よろしくお願いします。」



パチパチパチパチ…

稲瀬と奈波には笑われていた。


奈波「新入生の挨拶か?
それは。」



錬「緊張しただけよっ。」



奈波「俺は橘奈波。
波動を操る。
以上。」


パチパチパチパチ…


稲瀬「感情がこもってないわねぇ。」



奈波「否定はしない。」



稲瀬「望月稲瀬。
慣性を無視します。」



パチパチパチパチ…



奈波「さっきの台詞
そのまま返すぞコラ。」



稲瀬「ちゃんと負の感情はこめたわ。」



奈波「…。」



千代女「皆さん、ご存じかと思われますが、私は
望月千代女と申します。
一応斬撃を操ります。
私の目標は賢者の石を手に入れ、その暁には姉上の
願いを叶えたい所存にございます。
つきましては…」



稲瀬は千代女の口を塞ぐ。



千代女「モゴモゴ…
(何をするか姉上!)」



稲瀬「はい、じゃあ次の人〜。」



月花「じゃあ私が。」


月花「皆さんこんにちは。私は魔術師クロウリーの助手、鏡水月花と申します。
過去の存在を引きずりだす程度の能力です。
以後、よろしくお願いします。」



パチパチパチパチ…


錬(なんておっとりしてるんだろう。)


奈波(どこで育ったんだ?)

稲瀬(なんて正の感情なの。)


千代女(いかん、お腹すいてきた。)





次はリュカーの番だ。

彼女はスクッと立ち上がり、錬をにらみつける。



錬「えーと、さっきは…」



リュカー「別に!
別に痛くなんか、なかったんだからね!!!」



・・・。

リュカーの顔が赤くなる。
館長と稲瀬と奈波は必死に笑いをこらえている。


リュカーがまた涙目になった。


リュカー「バカーー!!!」



リュカーは猛スピードで食堂を出ていった。



奈波「くっくっく…
は、腹いてぇ。」



錬「ツン…デレ?」



アレイスター「奴の場合は
凡デレ(ボンデレ)だな。」



月花「元気で何よりですわ。」



千代女「うむ。
して館長、この事態はどうするものか…。」



アレイスター「特に問題はない。さて、最後は私の話だ。」







そう言って魔術師、
アレイスター・クロウリーはこの後の
幻想郷で巻き起こる事件の幕をゆっくりと開けるのであった…。



















橘奈波
肉体派魔術師。
波動を操る程度の能力。
波動を感じる程度の能力。もともとは喧嘩好きの普通の少女だったが、アレイスターと出会ってから、魔術師を
目指すようになる。
髪の毛は黄色くセミロングでくせっ毛であり、黒い
タンクトップに茶色い手袋を着用。ズボンに関しては考えておりません。














鏡水月花
禁じられた魔術を目指す魔術師。
魔術教会の元指名手配者。魔術を扱う程度の能力。
(主に過去の存在を引きずりだす程度の能力。)
やたらと謎が多い、アレイスターの助手。普段はおっとりしているが、魔術師としての能力は歴代トップクラス。その証拠に、アレイスターでさえ成し得なかった、
『世界との契約』に途中まで成功した。その為、過去に存在していた、現在に影響を及ぼさない程度の物質を魔方陣から引きずりだすことが出来る。本来の魔術師としての結界、空間転移、空間圧縮、その他の能力も非常に優れている。
しかし、世界と契約した
代償として、その視力は失われている。(魔術で補っているので私生活に支障は無い。)

ちなみに、苗字の鏡水は
カガミと読みます。
鏡水月花という名前は
鏡花水月(キョウカスイゲツ)から考えました。








自分のなかではこんな感じです。

1面 望月稲瀬
2面 リュカー・オーン
3面 橘奈波
4面 錬
5面 望月千代女
6面 アレイスター・クロウリー
EX面 鏡水月花





















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つづくさー

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