十八話 1/2
十八話 少女と曇り空




美鈴「はっ、はぁっ…。」





奈波「くおっ!!」




バキッ!!


ドカッ!!




二人はほぼ互角の戦いを
していた。

二人とも、この戦いに
終わりは求めては
いなかったが、それは突然やってきた。





美鈴「はあああっ!!」



奈波「おおおおっ!!」





美鈴と奈波、二人の拳が
ぶつかり合う…はずだった。



バスッ!!!





チルノ「邪魔して悪いが…
そこまでだ。」




二人の間に飛び込んだのはチルノだった。

チルノは両者の拳を双方片手で受け止める。





美鈴「なっ、チルノ!?」





奈波「てめえどういう…。」






チルノ「美鈴、パチュリーを連れてきた。
治療してくれ。」





チルノは美鈴の拳を離す。




美鈴「パチュリー様!?

この傷は…!?」




美鈴はすぐにぐったりと
しているパチュリーのもとへ
駆け寄る。



チルノ「外傷よりも内側の方が危ないぞ。

さっきからまともに呼吸が出来ていない。」






美鈴「…これは魔法によるものですね。

パチュリー様はその巨大な
魔力とは逆に身体の方は
とても弱い。


無理をして強い魔法を唱えたんでしょう、肺がボロボロです…。」





美鈴はパチュリーに手を当て、気を流し込む。





美鈴「奈波!
すまない、この勝負は
預けるぞ!」






チルノ「あたいは紅魔館へ
行くぞ。」




チルノは紅魔館の方向を向き、蒼い翼を広げる。







奈波「待ちな!!」






チルノはピタッと止まる。





チルノ「戦いの邪魔をしたのは謝る。

別に私はお前をどうこう
しようという気は無いが…。」



チルノは向こうを向いたまま。





奈波「俺の相手が
いなくなったんだ。

残る仕事はただ一つ、
お前らの邪魔をすること。

易々とここを通す気は
無いぞ妖精!!」






チルノ「そうか…。

結局戦うハメになるのか…。」




チルノがゆっくりと奈波の
方へ振り返る。



奈波がチルノと目を合わせたとき、奈波の身体に二つの悪寒が走った。


一つは単にチルノの冷気に
よる寒気。


奈波が感じたもう一つの
寒気は紛れもない…

『恐怖』だった。






奈波「なっ、
何なんだお前は!?」





  ・
チルノ「私はただの代行者だ…。」





チルノは奈波の方へ手のひらを向ける。





チルノ「代行を開始する。」




パキパキパキパキ!!



奈波の身体がみるみる
凍り付いていく。





奈波「くっそ!!

こんなもの、弾き飛ばして…や…る…。」





パキパキパキパキ――



ドンッ!!!!





氷の破片が飛び散る。




奈波「上等だ!

妖精風情が!!」




奈波
破壊神『ファンタズマ』!!!





チルノ「おいおい、随分と
危なっかしいな。


…仕方がない。
一時(イットキ)戯れてやろう…。」






























レミリア「ガアアアアア!!!!!!!!!!!!」




レミリア
紅符『スカーレットシュート』!!!





咲夜「ぐあああああっ!!!!!」





ドカーーーン!!!!!







…もう咲夜に時間を止める力は残ってはいなかった。




咲夜「ゲホッ!!
ゲホッ!!」





視界が狭い…



身体が…動かない。






レミリア「ハァー、ハァー…。」





レミリアはその手に紅く光る
神槍を構える。







咲夜「お強い…ですね。

流石お嬢様です。
完敗致しました…。」






お嬢様にこの言葉は届いているのだろうか…?

いや、関係はない。
初めて貴方とお会いした
ときもこんな感じだった…。







レミリア『運命は掴んだわ。

咲夜、
貴方は十六夜咲夜。

貴方は今日から私の右腕になりなさい!』――






敗北してボロボロになった
私にその吸血鬼はそう言った。

そのカリスマ的な何かに
魅了された。

この方と共に生きて行きたい。

そう思った。













レミリアは咲夜の目の前まで
歩み寄っていた。





レミリア「ハァー、ハァー!!」




レミリア
神槍『スピア・ザ・グングニル』-





咲夜は眼を閉じた…。






瞬間、レミリアの神槍が咲夜の目の前で止まる。





レミリア「ウウ…、ウアアアアアアアア!!!!!」





レミリアはその槍をなりふり
構わず破壊衝動と共に
一番近い山へと投げつける。





ドカーーーン!!!!!







レミリア「はぁ、はぁ、はぁ…。」





咲夜「お嬢様…。」






レミリア「…何をしているの?」





咲夜「え…。」




レミリアは咲夜の襟をつかむ。




レミリア「何をしているのよ
咲夜!!!!!」






咲夜「は…い?」






レミリア「命令したじゃない!

『私が死ぬまで貴方が死ぬことは許さない』!!


忘れたとは言わせないわ
咲夜!!!!!」







レミリアは泣いていた。

紅い眼はすでに落ち着きを取り戻していた。






レミリア「死なないでよ…!

貴方が死んだら…
また、
独りぼっちになっちゃう…。」







咲夜「…申し訳ありませんでした、お嬢様。


咲夜はまだ大丈夫です。

心配なさらないでください。」






レミリア「うう、
咲夜のバカ〜!!!」






たまには悪くない。

咲夜はそんなことを思い
ながら、レミリアを抱き締めていた。































ガラガラガラ―



破片があちらこちらに
崩れる。






千代女「生きていたか…。」





妖夢「迷いが無い太刀筋、故に斬撃も真っ直ぐ、
飛んでくるコースも
読みやすい。」





千代女「そういう貴様の
刀には迷いがあるな…。」





妖夢「ああ、迷ってばかりだ。


この刀を持って歩むことは生まれた頃から決まっていた。

幼少の頃から稽古していたから、今では人を斬ることに恐怖や違和感を感じるわけではない。


ただ、今でも私は刀で人を救おうとしている。」






千代女「刀で人が救えるのか?」





妖夢「それは無い。
何故なら、刀は美しいが、言ってみれば人を斬るための道具、凶器でしかない。


刀は斬ることしか出来ないんだ。
私の師が言っていた。

『守ることは出来るが、
救うことは出来ない。

我々が刀を持つのは守る
ためと相手を斬るため。』。」









妖夢、お前の刀は迷って
ばかりだ。


相手を斬るのが怖い。

相手に斬られるのも怖い。




白楼剣を抜きなさい。
その短い刀だ。


その刀は、人の迷いを断つことが出来る。


だが断つのは刀じゃない。あくまで自分自身だ。
わかるか、妖夢。


その刀は、守るには短い
攻めるにも短い。


お前が私との稽古で不利になるとすぐに楼観剣に頼るだろう。

長いから守りやすいし、
本気になれば幽霊十匹分の殺傷能力もある。



だがお前は私に勝てない。

迷いが己の剣筋を乱すからだ。


楼観剣を納め、その十分に攻守がままならない白楼剣一本で、今一度私の相手をしなさい。


そうすれば、お前の迷いがおのずと見えてくる。








妖夢、刀は凶器だ。
人を救うことは出来ない。



それでもお前が人を
救いたいというのなら、
覚悟のうえ、その『迷い』さえ貫き通せ!


汝は人を救う剣となれ。























妖夢は楼観剣を納める。





千代女「その短刀一本で
我が斬撃を受けるというか?」





妖夢「この白楼剣は迷いを断つ短刀。

私はもう自分の『迷い』に迷わない。」


















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後から思い出した。

吸血鬼は昼間外で
活動できないから、レミリアと咲夜の戦いは…


空が曇っていたという事で。

w友達に教えるw
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