二十八話1/4
二十八話1/4 少女と少女の過去






滝城家―





その国には魔術三家が
存在した。





滝城、八神、藤原…。





滝城家はその中では
一番小規模だが、
魔術師達の質は
その
三家の中でも優秀だった。









滝城錬は、
その家の長女、
上から三番目に生まれた。





錬「ねえ、お母さん。」





「何かしら?」





錬「お兄ちゃん達は
どこへ行ったの?」





「お兄ちゃん達は
勉強しに行ったの。」





錬「今日は学校、
お休みだよ?」





「家でしか出来ない勉強をしているのよ。」






錬は首をかしげる。





錬「家なんかで何の勉強が出来るの?」







「…錬金術よ。」






錬「錬金術?」






「さ、
食事の用意をしましょう。」






それきり
母は錬金術について何も
教えてはくれなかった。





















アレイスター「滝城家は主に
錬金術が専門だったんだ。



八神は薬術、
藤原は妖術というように。




そして
三家は微妙なバランスで
均衡と
対立を繰り返していた。







錬の父、
滝城稜洛(リョウラク)は
滝城家の党首であり、
見た目の若さとは裏腹に、『影の世界』では名の
知れた暗部を務めていた。





彼は、
一つの過ちと、
二つの罪を犯してしまったんだ…。」
























「お前は女に生まれたからいいよな。」






錬「何言ってんのよ?

あんたはこんな
デカイ家継げるのに。」






この年、
錬は17歳になった。






「はっ、
バカ言うな錬。

兄貴にはこう見えて結構
辛いんだ。」






錬「匡(キョウ)は
翔(ショウ)と違って暇そうね。」






滝城家長男の名はは翔、
次男の名は匡。






この年になると、
どうしても
危なっかしいことに
首を突っ込まなきゃ
いけなくなるのが、
滝城家
長男の運命であった。







匡「こんなことに
何の
意味が在るんだろうな?」





翔「ん?」






匡「どうせ家を継ぐのは
兄貴だ。



だったら何で親父は
一番上が男だったにも
関わらず
俺と錬を生んだんだろうな?」






二人とも、
その質問にはすぐに答えることが出来ない。










翔「わからんよ。


だが、
お前達がいなかったら、
多分俺は
寂しかっただろうな…。」























アレイスター「魔術三家は
魔術を
表に出すことはしない。



使うとすればそれは
裏の世界だけだ。


だから協会はそれを
怪しがっていた。」





















翔「匡、錬はどこだ?」




匡「知らないのか?

親父と稽古してるよ。」





翔「そうか…。」





匡「今日はあいつの
誕生日なのにな。」





翔「この家に生まれた
以上、家族が揃って
食事することはなかなか
難しい。


せめて暇な時間にとは
思ってな。」






匡「まさか、
実の娘にまで暗殺術を
学ばせるとは…。」






稜洛が直々に息子、
娘に稽古をつけるときは
必ず暗殺術を学ばせる。





三人とも八歳の頃からの
習慣になり、
今では『暗殺』という
言葉にすら抵抗を感じなくなった。






錬「であああッ!!!」




ダン!





稜洛「踏み込みが甘い!!」





ガッ!!





錬「あッ!」






稜洛の裏拳は錬を軽く
吹っ飛ばす。





ドカッ!!!





錬「…くっそ!」






稜洛「お前の踏み込みは
恐くない。

そこに立ちなさい。」





錬「…はい。」






稜洛は錬を真っすぐに
立たせる。






稜洛「構えなくていい。

今から私はお前に寸止め
をする。



眼は閉じるなよ。

出来るな?」






錬「はい。」






稜洛は呼吸を整え、
拳を構える。







稜洛「シッ!」






ダンッ!!!!!






錬「―ッ!」





当然拳は錬の顔面寸前で
止められるが、
拳の勢いと得体の知れない『恐怖』にやられ、
錬は後ろに
尻餅をついてしまう。




錬の
身体は少し震えていた。






錬「はぁ、はぁ…。」






稜洛「恐かったか?

慣れた寸止めでも、
踏み込み一つでここまで
変わるということを覚えておきなさい。



今日はここまでだ。」






錬「はい。

ありがとうございました…。」























匡「お疲れ。」




錬「まったくよ…。」





匡「はいよ。


翔からの誕生プレゼントだ。」




錬「あ、そういえば…。

翔は?」



  ・・
匡「仕事だ。」





錬「そう…。



翔は…
  ツミビト
もう罪人なんだよね。」





匡「気付いてたか…。」




錬「この間翔の服から
血の匂いがしたから…。」




匡「俺もその内そうなる。


その次はお前だ。」





錬「…。


もう寝るわ。」





匡「そうだな。

ゆっくり安め。
明日は武器の
錬成をやるそうだ。」





錬「分かった。
おやすみ…。」





匡「おやすみ…。」



















翌日の朝、
事件が起きる。













匡「錬!
起きるんだ!!」





錬「うん?」





匡「さっさと目を覚ませ!


門番が
二人殺されたんだ!!」





錬「え!?」





匡「親父が呼んでいる。

支度を済ませて
さっさと来い。」





















稜洛は滝城家の幹部を
集め、会議を開いていた。




「あれは協会の
手のモノですか?」





稜洛「いや、
それはまず無い。


それに、協会のモノなら
あんな殺し方はしない。」





「確かに、
二人とも傷口が普通じゃ
ありませんでした。」





「だがあの二人は決して
弱くはない。


犯人はかなり出来るかと
思われます。」





稜洛「藤原か…!



だが妙に引っ掛かる。

藤原家の犯行にしては
いささか派手だ。」





「犯人の目的は一体…?」









稜洛「よし、皆よ。

早朝から少し疲れたろう。



今から
3時間休憩を与える。

3時間後、
また会おう。





翔はここに残りなさい。

お前達、
入ってきなさい。」






匡「失礼します。
父さん。」




錬「失礼します。」






稜洛「錬、
事情は聞いたな?




恐らく藤原家の仕業だ。



だが惨殺し、
遺体を放置しと、
不振な点が多い。



情報は少ないが、

暗部を藤原家に向わせた。





すぐに
カタはつくだろうが、
何があるか分からない。

いざという時、
自分の身は
自分で守るように。

分かったか?」







翔「はい!」

匡「はい!」

錬「はい!」








稜洛「よし、
翔と匡は屋敷の見張りに
当たれ。





錬は
私の自室に来なさい。」





錬「…?

はい。」






その時翔が口を開く。





翔「父さん…。


いえ、何もありません。」





稜洛「お前が
心配する事はない。


行きなさい。」






翔「…失礼します。」

匡「失礼します。」





















錬「父さん、
自室には何が?」





稜洛「来れば分かる。」


































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