二十八話2/4
二十八話2/4 少女と少女の過去







薄暗い廊下を抜けると、
白いドアが見える。



そう言えば
父さんの自室に入るのは
初めてだ。






稜洛「入りなさい。」




錬「失礼します。




なっ、これは…!?」








稜洛の
部屋は割りと殺風景だが、部屋の真ん中にはハイエナの剥製(ハクセイ)や
ハイエナの壁画などが
置いてあった。



獲物を捕えているところが描かれた、
当時の錬には衝撃的なものだった。








稜洛「翔と匡には、
すでに見せてある。


錬の
率直な感想が聞きたい。

ハイエナという生き物を、どう思う?」







錬「ハイエナは…
トラやライオンと違って
なんというか、

…格好悪い…です。」






稜洛「格好悪い、か。

何故そう思う?」






錬「トラは自分で獲物を
捕食しますが、
ハイエナは違う。



獲物を横取りするし、
黒くて小さいし…。」







稜洛「ふむ…。


私はだな、
ハイエナという生き物が
好きなんだ。」






錬「それはどうして?」







稜洛「人間にそっくりだ。




その汚く、
一人では弱々しく、
卑怯で、
貪欲なところがな。」






錬「父さんは、
人間をそんなふうに
思っているの?」






稜洛「おっと、
悪いようにとらえて
しまったかな。」






錬「確かに、
私達人間ほど汚い生き物はいない。


父さんを
見るとよく分かる。

私が小さい頃からいつも
父さんからは血の匂いが
したから…。





でも
それだと今の父さんが、
私に何を伝えようと
しているか分からない…。



何でハイエナを
見せたんですか?」






稜洛「その通りだ錬。
その質問は正しい。



私はね、お前にハイエナの貪欲さを見てもらいたい。



ハイエナは人間と
そっくりと言ったが、
それは生への
執着があるからだ。」









錬「生への…執着?」






稜洛「人間が何故
これほどに貪欲なのか。


それは生きることに
貪欲だからだ。





我々魔術師が
人間を人間と判断する
選択肢の一つ。


それに生への執着が
在るか、無いか。





人間の寿命は儚くも短い。

約百年もの間、
必死に、
貪欲に生きようとする。


だから美しい存在なんだ。




ハイエナも同じ、
生きることに必死だから、卑怯で、貪欲なのさ。





そう考えるとほら、
ハイエナが美しく
見えてくるだろう。」






確かに…。



錬は目の前の剥製をじっと見つめる。





錬「なんて、
強そうな生き物…。」







稜洛「錬、
我々は家柄上、どうしても人を殺さなければならない時がある。


自らの行いに絶望する時も在るだろう。





それでも
お前は貪欲に生きろ。


私の娘として、
この世を
最期まで生き抜け。





いいな錬、
お前は『ハイエナ』に
なるんだ!」





錬「はい、父さん。」







稜洛「よし、
では道場に来い。


お前に
私から最後の暗殺術を
教えよう…。」









その時錬は、
何故今最後と言ったのか、その
理由が少し気になった。

























道場に着くと、
稜洛は錬に武器を渡す。






錬「これは?」





稜洛「トンファーという武器だ。


こうして使う。

見ていなさい。」






稜洛は二本のトンファーを
握り、
力一杯振り回し、
空を切る。







錬「凄い…。」





稜洛「今までの
稽古の踏み込みは、
全てこの武器を使うために練習していたものだ。





お前なら
すぐに使いこなすことが
出来るだろう。




だが気を付けろ。
この武器を半端な覚悟で
扱うと、
己の身を滅ぼす。


いいか錬、
例え
相手がこの私であっても、その
二本のトンファーを使う時は
  ・・
必ず殺す気でやれ。







それかこう考えろ。

殺したくないのであれば
その武器は使うな。
相手に対して失礼だ。


もし相手のことを
思うのなら…」






錬「綺麗に殺せ。


…ですね。」






稜洛「その通りだ。

では…」






稜洛が稽古を始めようと
した時だった。








バタンッ!!





「大変です首領!」






入ってきたのは紅い髪の
少女だった。





  アオザキ
錬「蒼崎さん!?」






蒼崎は最近雇われた
屋敷の配達人である。






稜洛「どうした蒼崎?」







蒼崎「屋敷の周りが大勢に囲まれています!」






稜洛「何だと!?」






錬「外には兄上達が!」































外は…
すでに惨状と化していた。




















アレイスター「門番を襲ったのは藤原家だけじゃ
なかったんだ。



当時錬金術を
主体としていた滝城家にはある
代物が保管されていた。




単に藤原家は
滝城家の存在が邪魔だっただけだが、

魔術三家の一つ、
薬術が主体の八神家は
保管されていた代物、
『賢者の石』が
欲しかったのさ。





藤原と八神は互いに
利害が一致し、
滝城家を強襲、
殲滅(センメツ)する作戦を
取ったんだ。」




































稜洛「貴様ら…!!」






「そういう事だ。
滝城家党首、滝城稜洛。


我々八神は
お前らが所持している
賢者の石が目的。

藤原に部隊を送ったのは
失敗だったな。
全て
我々の思惑通りになった
というわけだ。」









匡と翔は…

すでに息絶えていた。








「滝城家は、
ここで絶えろ!!!」






八神の男の言葉と共に、
周りの
暗部が一斉に飛び掛かる。







錬「匡…、翔…。




おのれぇえええ!!!!!!!!」






錬はトンファーを掴み、
飛び掛かる男達に反撃する。





怒りに我を忘れ、
錬はただひたすらにトンファーを握っていた。








稜洛「くっ、数が多い!!」





滝城家にいた人数は
錬と稜洛を含めた18人。

対して八神の部隊は50を
越えていた。







錬「よくも!

よくも兄上をッ!!!」











ドスッ―。






錬の胸には、
背後から
槍が刺さっていた。











錬「アッ…ゲッホォ!!」





ビチャビチャ!!!






「女だからと容赦はせん。その紅と共に眠れ!!」






ドサッ!!





錬はその場に倒れる。







稜洛「錬ッ!!!」











その時だった。





「そこまでだ八神!!」





「ぐあッ!

滝城の暗部…
何故ここに!?」






「気付くのが遅かったか!



皆よ、
滝城の名の下に…
八神を討て!!!」





オウ!!!!!






滝城の暗部達は速やかに
八神の部隊を撃退した。


























稜洛「錬!
しっかりするんだッ!!」





錬の身体は紅く染まり、
眼は光を失っていく…。






「錬!」





錬の母は即座に駆け寄り、錬に寄り添う。





「何で…こんなことに!!


匡も、
翔も死んでしまった…!」









稜洛「…まだ助かる。」






「え…?」






錬はまだかすかに
息をしていた。






稜洛「私と来てくれ。」





稜洛は錬を抱き上げ、
屋敷の中へと入っていった。































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やっとこ東方妖々夢、
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