二十八話3/4
二十八話3/4 少女と少女の過去





     ・・
稜洛「錬を作る。
手伝ってくれ尊(ミコト)。」





尊は錬の母である。






尊「作る…!?

まさか、禁術を!?」








稜洛「匡と翔は手遅れだが錬の魂はまだここに在る。



身体を作り、
そこへ魂を定着させる。」






尊「…分かったわ。


でも、
錬の生命力は
底を尽きかけている。


上手くいったとしても、
寿命が持たないわ!」






稜洛は箱を取り出す。






稜洛「心配ない。

これを使う。」






取り出したのは、
紅く光る賢者の石だった。


























アレイスター「滝城の賢者の石も、また完全と呼べるものではなかったが、



パチュリー・ノーレッジが
所持していたものと同じ、『高エネルギー体』だ。


稜洛はそれで錬の生命力を補ったんだ。







錬の正体、

それは
心臓の裏に賢者の石を
埋め込まれた身体を持った

・・・・
人造人間だ。」



















錬は三日後に目を覚ます。




尊「おはよう錬。」





錬「おはようございます。

母さん、私は…
死んだはずじゃ…。」






尊「貴方だけよ。
なんとか
一命をとりとめたの。



その…

匡と翔は…。」






尊の眼からは涙が落ちる。





錬「うん。
分かってる…。」





尊「錬、
貴方はしっかりと生きて。


もう貴方しかいないの。」






尊は
錬を力強く抱き締める。






























アレイスター「しばらく
滝城家には平和が戻ったが、
長くは続かなかった。





当時人造人間の製造は
禁術とされ、
協会の間では
厳しく禁じられていた。





滝城家の配達人である
蒼崎という女は、

   ・・・
滝城の監視役として
派遣された
協会のスパイだったんだ。





稜洛が
人造人間を作ったことは、すでに筒抜けだった。





協会にいた私は上から
魔術師の掟を破った滝城家の抹殺を命じられた。







だが、
私は人造人間というのに
興味があってね…。


物騒なことは上の奴らに
任せて、
私は後から現地に向い、
こっそりその
人造人間とやらを拝借するつもりだったが…、








いざ現地へ向うと、
    ・・・・・・
そこには何も無かった。」





稲瀬「何も無かった?


それは
一体どういうことよ?」






アレイスター「文字どおりさ。



在るのはガレキやら
割れた地面やら、
錬の住んでいた町には、
ひとっこ一人いなかった。





錬を見つけたのは
私がその町に着いてから
半日ほど経った後だ。





滝城家の屋敷が

・・・・・・・
在ったであろう場所に倒れていた。」






稲瀬「まだ分からない。

それは…。」






アレイスター「つまりだ。

その町には錬一人を除いて誰もいなかった。







ここからはあくまで私の
推測だが…、



賢者の石が内蔵された
時点で錬は分解エネルギーが
意図的に放出出来たんだ。



恐らく、
協会の連中が滝城家を
襲撃した際に
錬は自身の分解エネルギーが
制御出来なくなったか、


あるいは
暴走したんだろう。












錬は…


  ・・・
町を丸ごと分解したんだ…。」













































稜洛「協会に気付かれたか…。」






尊「こうなることは…

決まっていたの?」






稜洛「すまない尊。

私は父親失格だ。





匡を失い、

翔を失い、

錬の
身体を失ってしまった。」





尊「仕方の無いことです。


滝城家の者である以上、
いえ、

私が滝城の人間になると
決めた時から
これは覚悟の上です。」






稜洛「だが
護ることは出来たッ。


   フガイ
私が腑甲斐ないばかりに!



私は、
滝城の首領で在る前に、

たった一人の
父親で在るべきだった!」








尊「もう…、
失いたくはありません。」






稜洛「ああ。

次こそは…、



錬だけは
必ず護ってみせるッ!!」















稜洛は屋敷の者達を全て
集め、
最後の会議を開いた。








稜洛「初めに言っておく。



協会の
勢力はこちらの倍だ。


魔術においても奴らの方が上手(ウワテ)だろう。





今から私は後ろを向く。

死にたくないものは、
速やかに
この場を去るんだ。」







稜洛は後ろを向くと、
会議室の中が騒めく。





やがてまた静まるのを
稜洛が確認すると、
ゆっくりと
また前に振り替える。







   タワ
稜洛「戯けが…。」






屋敷の者達は、
誰一人その場から動いてはいなかった。






「私は死ぬまで貴方と共に戦います。」



「協会の奴らなんて
蹴散らして
やりましょうや!!」



「今まで誰の背中見て
生きてきたと
思ってんですか首領?」






「見ての通り、
私らは逃げ出す気なんて
さらさら在りませんや。」








稜洛は眼から大粒の涙を
落とす。






稜洛「すまん…。

皆、本当にすまんッ!!」















こうして、
滝城家全員は一致団結して協会と
決戦することになった。





















それは、
暑い暑い夏の夜のこと―













「滝城稜洛。

貴様に対し協会から
禁術の使用、
及び人造人間の製造容疑で令状が出ている。





速やかに対応に応じれば
手荒な真似はしない。」











稜洛「貴様らのことだ…。


いずれにせよ、
屋敷の者達に手を出さない気は無いのであろう?」









「手荒な真似はしない。



答えろ!

速やかに応じるのか!
稜洛!?」








ドスッ!!!!!






「がはァッ!!」






協会の部隊の一人の胸に
槍が刺さる。






「貴様ら!!」






稜洛「これが答えだ。


さっさと
失せろ堕犬ども!!」






「馬鹿めがッ!


かかれッ!!!」






物陰から協会の部隊が
一斉に飛び出し、
滝城家目がけて魔弾を放つ。






稜洛「はァッ!!!」






稜洛は
何十本もの剣を錬成し、
一斉射出する。






ズドドドドド!!!!!






「ちっ、
奴をつぶせぇ!!」






稜洛「屋敷の中へは…

一歩たりとも
進ませはせんッ!!!」





















錬「私も戦うわッ!!」






尊「駄目よ錬!


協会の狙いは…。」






尊はとっさに口を閉じる。





錬「協会の狙いは…

私でしょう…?」






尊「気付いてたのね…。」






錬「自分の身体の事くらい自分が一番よく分かるわ。





やっぱりあの時…

私は死んだんだね。」






尊「死んだのは身体の方よ。


魂は生きてるわ。」






錬「どっちだって同じよ。


私は『滝城錬』の人形
に過ぎない。」







尊「駄目ッ!


そんなこと言わないで錬。


…お願いだから、

貴方だけは、
生きていて…。」










錬は
尊の顔を見て下を向く。






錬「ごめんなさい。

そんなつもりじゃ…。」






尊は
錬の頬に両手を当てる。






尊「大丈夫よ。

うちのお父さんが
きっと護ってくれる。」






錬「うん。」






錬が返事をすると、
二人は
屋敷の廊下を走りだす。













「いたぞッ!」






錬「母さん!」






尊「走って錬ッ!」
























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