二十八話4/4
二十八話4/4 少女と少女の過去






「いたぞ!

奴に違いないッ!」






尊「くッ、

式神ッ!!」






突然尊の札から紅い光が
放たれる。





ドンッ!!!





錬「母さん…

式神が使えるんだ。」





尊「父さんには内緒よ。


     ・・
あの式神は神楽。
私の悪性の魂の一部よ。


人に使って
いいものじゃないわ。





さあ、走って!!」































錬「ハァッ、ハァッ!」






尊と錬が屋敷の廊下を右に曲がった時だった。






ズドンッ!!!






錬「うわッ!」






二人の目の前で突然
屋敷の壁が突き破れる。



その時錬は大砲か何かが
撃ち込まれたのかと
思ったが、
そこにいたのは紛れもない…









錬の父だった。







尊「貴方ッ!」




錬「父さんッ!」








稜洛「…すまん。



奴らは、やはり強い。

外の仲間も、
殆どやられてしまった。







尊、錬は…頼んだぞ。」







稜洛は胸と右脇腹から
大量に出血をしていた。







錬「嫌だッ!

父さんッ!!」







稜洛「ゴッホォ!!

ハァッ、ハァッ…。






聞きなさい、錬。」







稜洛は血を吐きながら
必死に口を開く。







稜洛「私は、
父親としては最低な男だ。





家のことばかりで、
ろくに遊んでもやれず、
お前達の
自由さえ奪ってしまった。




匡と翔を…

死なせてしまった。









これはその代償だ。」









錬「違うッ!

父さんは…




父さんは、
私の父さんは世界で
一番やさしくて…、
一番強くて…、
一番逞(タクマ)しくて…。」







それ以上言葉が出せない。











稜洛「ありがとう錬。





お前が
そんなに私を父親と
認めてくれるのなら、
私も安心して逝ける…。」










稜洛は手に爆薬を掴む。








錬「やめてッ!

もういいよ父さん…。





もうこれ以上父さんが
傷付くのを
見ていられない…。」










稜洛「もう
この身体は持たないさ。





錬、
最期までお前の父親としていさせてくれ。









どんなにつらくても、
どんなに苦しくても、


いつかきっと笑える日が
来るから…。





ハイエナになりなさい。

貪欲に、





ただ生きることに
貪欲になりなさい。」












やがて
辺りが騒がしくなる。








稜洛「行くんだ二人とも…。」









尊「稜洛…
愛してるわ!!」






錬「ありがとう。
父さん…。」








稜洛「ああ、
愛してるぞ…尊、錬。」



























「人造人間はどこだ?」






稜洛「くだらん質問に
答える気は無い…。」






「死に損ないめ…。

貴様は所詮廃れた魔術師に過ぎないということが
まだ理解出来ぬか?



さっさとくたばれ。
貴様にもはや利用価値などない。」








稜洛「フッ、
フハハハハハッ!!!」







「何が可笑しい!!?」



「頭がイカレてるのか?」







稜洛「今思えば…
私はきっと
幸せ者だったんだろうな。





貴様らとは…


・・・
あの世で決着を
付けるとでもするかッ!」








稜洛は手に持っていた
爆薬に火を点ける。









「きッ、貴様ッ!!」








稜洛「また地獄で逢おう!



協会の犬どもッ!!!」


















ドカーーーーーンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
































錬「うう…。

父さんッ。」






尊「下を向いちゃ駄目!

前だけを見ていなさい。」






そう言った尊の眼からも
涙が流れていた。




























ガチャ…。









錬「この部屋は?」






尊「魔術の研究用に
作られた部屋よ。




よく聞いて錬。

貴方の生命エネルギーの源に
なっているのが賢者の石と呼ばれる、

半完全な物質よ。





その石は
高エネルギー物質だから、


今の錬は、
 ・・
錬自身が一つの
高エネルギー体そのものに
なっているわ。」








錬「私自身が
賢者の石っていうこと?」





尊「そう、
簡単に言うとね…。




今の錬になら、
錬成陣や道具が無くても
簡単に錬金術が扱えると
思う…。





だけどね、
逆に言うとそれは
とても危険なのよ。




まだ錬は錬金術を
学んでないかしら?」






錬「化学的な知識は
教えてもらったけど、
錬金術までは教えて
もらってはないわ。」






尊「私は錬金術の怖い所をよく知っている。



モノを『錬成』する、
ということは、
モノを『分解』する、
という作業から始まる。









私は過去一度錬金術を
失敗していて、
人を一人、この世から
消したことがある。」








錬「…だから幼少の頃
私が錬金術に関する質問をすると頑(カタク)なに
答えるのを拒んでいたのね。」






尊「どうしても忌々しい
過去を思い出して
しまうからね。」







錬「でも…それは矛盾する。


なら何故この屋敷に?」







尊「絶望の淵に立たされ、生きる希望を失っていた
私を拾ってくれたのが
稜洛だった…。」







尊は口を押さえ、
涙を流す。








錬「今でも父さんを…、
愛してる?」







尊「ええ…。」






尊は涙を拭い去る。






尊「ごめんなさい、
取り乱してしまったわ。





錬、
今から貴方の分解エネルギー
から貴方を守るための
『体内結界』を施すわ。





賢者の石が体内にある以上錬はその力と向き合って
生きて
いかなければならない。



分解エネルギーを止めることが出来なくても、
それから錬を守くらいの
ことなら出来る。」








尊は目を閉じて、
錬の両手のひらに親指を
乗せる。






尊「落ち着いて…。


ゆっくりと呼吸して…。」









尊の魔術は詠唱を唱えないものが多く、
その時も詠唱を唱える
ことはなく、
ただ黙って
じっとしていた。






錬は眼を閉じたまま、
自分の腕の中に
温かく、やさしいものが
流れ込むのを感じていた。




























尊「…さあ、
これで終わりよ。



あとは…。」










「いたぞッ!!


人造人間だ!」








尊「見つかった!?」






尊は式神、『神楽』を出す。








「パイロキネシス―!!」






ボウウッ!!!






部屋の中が炎に包まれる。





錬「母さんッ!」








男の一人が銃を構える。







「撃てッ!」








尊「危ない、錬ッ!!!」











バンッ―!!!






























<<重要なお知らせ>>

@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
@peps!・Chip!!は、2024年5月末をもってサービスを終了させていただきます。
詳しくは
@peps!サービス終了のお知らせ
Chip!!サービス終了のお知らせ
をご確認ください。
虹色の羽根に
黄色の髪の毛
紅い服を来た
幼き悪魔の妹



そして
誰もいなくなるのか?

w友達に教えるw
[ホムペ作成][新着記事]
[編集]
無料ホームページ作成は@peps!
無料ホムペ素材も超充実ァ