三重話
三重話 少女と少女の目覚め






今日の夜も暑い―





汗が体中を駆け巡る―





頬を伝うは汗か涙か―









その夜、
少女は目覚めた。








ひどい夢だった。




いや、
夢なんかじゃない。



そう思えば気持ちが楽に
なるから…。


夢であって欲しかった。







しらばっくれようにも、


     ・・・
あんな所にあんたが
いたんじゃ、
シラをきるわけにも
いかない…。











少女はとにかく火照った
身体を冷やそうと、
布団を退けようとするが、両腕に何とも言えない
激痛が走る。







         ・・・そういう事なのね、母さん…。









少女は痛みをムリヤリ
堪(コラ)え、
布団を退かして立ち上がり、
ヨタヨタと涼しい
縁側の方へ足を運ぶ。









ドカッと
縁側に座り込むと、
痛みが走る両腕を
押さえながら今宵を照らす月を見つめる。





















稲瀬「錬…。」





稲瀬は物音に気付いて
起きてきた。



心配そうに少女を見つめながら歩み寄る。







錬「来ないで…!」






その言葉に稲瀬は
一端立ち止まる。






稲瀬「錬…。」






錬「ごめん…。


でも今は近づかないで。」






稲瀬「記憶、戻ったの?」








錬「そうよ。


それは、
・・・・
館長から聞いたの?」







稲瀬「何でそれを…。」






やっぱりね…。







錬「私が昔、
何をやらかしたかも
聞いたの?」







稲瀬「ええ…。

全部クロちゃんから。」








錬「そう。



稲瀬はいいの?

こんな所に大量殺人鬼が
いるんだよ?



怖くないの?」









稲瀬「錬…ッ!



馬鹿な事言わないでッ!!




それは仕方の無かった…」








錬「『仕方の無かった』!?




ふざけないでッ!!


仕方の無いワケが
無いじゃない!!





私が200年前何故町一つ
消したと思う?





あの時頭が混乱してた。


確かにそうよ。

でも思考はちゃんと働いていた。




私はね…

あの時、
あの町と一緒に
消えてしまおうと…

     ・・・・
あの町ごと無理心中を
謀ったのッ!!






でも結果はホラ…



皆死んで、

私は今まで何もかも忘れてのうのうと生き続けてる。




つらい事は全部忘れて、
一人呑気(ノンキ)に過ごしている。」











稲瀬「でも今は…!」






錬「今は記憶が戻った。


だから
混乱してるのよッ!!!









最悪な夢を見て、

起きたら最悪な事実が
待っていて、

私は人間じゃなくて、

私は殺人鬼で、

家族が全員殺されていて、






私は…

独りで…。」








錬は腕を強く押さえる。











錬「腕が…



腕が痛くて…、


涙も
ロクに拭けないわよ…。」







うずくまる錬の眼から
流れる雫に、
月の光が反射する。









稲瀬「ごめん…なさい。」






稲瀬はただ
傍にいることしか
出来なかった…。



































翌朝―





霊夢「30年間
ほったらかしに
してたから助かるわ。」







千代女「構わんよ。


それより、
よく外から来た…、
しかも事件の犯人達を
軽々と
受け入れられるな…。」






霊夢「幻想郷って
そんなもんよ。」






魔理沙「そうそう。

カタッ苦しいのは
この際無しさ…。」






千代女「魔法使い…。」





霊夢「あんた
いつの間に来たの?」





魔理沙「さっきだぜ。



また本借りようと紅魔館へ行ったらまだ工事中で、
パチュリーに半端無く
怒られてしまった。」






霊夢「そりゃ
残念だったわね…。」





魔理沙「本は頂いたがな。」




霊夢(懲りないヤツ…。)





魔理沙「ちょっと
暇しててな…、

誰か弾幕ごっこでも
しないか?」





千代女「すまないな…。

今うちの者達はそういう
空気ではないのだ。」





魔理沙「ん、そうなのか?」





霊夢「色々と
事情が在るみたいよ。


私達が首を突っ込む事じゃないわ。」








魔理沙「まあ仕方ない。


またチルノに
宣戦布告してくるか!」





霊夢「昔とすっかり
立場が
逆になっちゃったわね。」






魔理沙「イイって事よ。


んじゃまた後ほど…!」








そう言って魔理沙は
箒にまたがり飛んでいった。












































ピシャッ!!



ピシャッ!!








そこには、
鉄の棍(コン)で
風に振り落とされた
木の葉を的確に狙い打つ
錬の姿があった。







ピシャッ!!


ピシャッ!!











奈波「いい腕だな…。

何かしらの拳法か?」






錬「いたの…。」






奈波「腕は大丈夫なのか?」





錬「まだ
多少の痛みは残ってる。


気が散るから、
見ててもいいけど静かに
してくれない?」







奈波「はっ、
つれないねぇ…。」







奈波は錬に近づく。






奈波「お前さ、
館長と一戦
交えるつもりだろ…?」






錬「…!



ええ、そうよ。
よく分かったわね…。」







奈波「館長はもう
協会の人間じゃない。


個人的な
恨みでも在るのか?」







錬「…その様子だと、
やっぱり全部は
話してないみたいね。」






奈波「どういう事だ?」






錬「後々分かるわ。」






奈波「まあ、
深くは聞かんがな…。


その様子だと、
接近戦で行くようだが?」






錬「その通りよ。

館長が接近戦も得意なのも承知の上、
私はこれで行く。」






奈波「そうか…。
まあ、聞け。



俺が魔術師になる前は
ただの
チンピラだったって話…
したっけ?」






錬「初耳だけど…

すごく想像しやすい。」






奈波「想像しやすくて
悪かったな…!



それはさておき、だ。

館長は…
俺が唯一、喧嘩で勝つ事が出来なかったヤツだ。」






錬「…続けて。」






奈波「当然
魔術無しの条件だった。

ただの蹴り合い、
殴り合いで俺は館長に
歯が立たなかった。





館長は…
俺に『喧嘩の難しさ』を
教えてくれた人だ。」







奈波は落ちてくる葉っぱを殴りながら話し続ける。






奈波「喧嘩にルールなんてものは無い。



私は殴るか蹴るかが
好きだったが、

武器使おうが、
空手やろうが、
柔道やろうが、
ボクシングやろうが何だって構わない。

とにかく勝ちゃいいんだ。




でも、
喧嘩で一番難しいのは
そこなんだ。



喧嘩にルールは無い。
ルールが無いから、

・・・・・・・
勝敗条件も無い。




結局勝敗を決めるのは
自分自身って事さ。


気絶させる、
骨を折る、
心を折る、

自分が
満足した状態になって、
初めてそいつは
『喧嘩で勝った』って
言えるんだ…。」








奈波は葉っぱを一つ掴む。





奈波「そん時初めて俺は
知ったんだ。


今まで
俺は勝ってたんじゃない、『負けなかった』だけ
だったんだ。

ってね。」










錬「…。

成る程、参考になったわ。ありがとう。」







奈波「おっと、
この俺がここにいるんだ。
  ・・・
その組み手…
付き合ってやるよ。」






錬「手加減しないわよ?」






奈波「勿論だ。

させる気もねえし、
したらぶっ殺す…!」






錬「上等ッ!!」







































月花「ケジメ…ですか。」






アレイスター「ああ、ケジメだ。



ついにこの時が来た。

待っているぞ、錬。」
























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さくら

さくら…



舞い散る魂いついつ
でやる…






やっぱり花より団子ね…。

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