三十二話
三十二話 少女と迷うアレイスター・クロウリー






二本のトンファーを手にした
錬は低い前傾姿勢をとる。








錬「殺すわよ…館長。」










ズキンッ―!






稲瀬「くッ!」






稲瀬は眼をで覆う。






千代女「姉上ッ!」






稲瀬「大丈夫よ千代女。

鬼の眼が反応しただけ…。



それにしても、
なんて
純粋な『殺意』なの…!



あれが…
滝城錬だというの?」













レミリア「…。


この私が鳥肌なんて…。」















アレイスターは恐怖していた。




錬の
あまりに研ぎ澄まされた
その殺意は
なりふり構わず周りにいた者達を奮い立たせる。





その殺意をまともに受けていたのがアレイスターだった。





奈波「錬…。」














アレイスター「殻ッ!」






アレイスターはとっさに
物理結界『殻』を張る。










錬「私は、


ハイエナだ…。」












次の瞬間、
錬は眼にも止まらぬ速さでアレイスターに突っ込む。







アレイスター(速いッ!)





錬は片方のトンファーを
アレイスターへ投げつける。



当然それはアレイスターの結界に弾かれるが、
錬は即座に空いた片手で
分解を試みる。




アレイスターはそれを予測し、
攻撃用の
魔術詠唱を唱える。




その間、1.2秒。






錬が結界を分解した瞬間にアレイスターはエネルギー波を放つ。






バンッ!!!








殺らなきゃ殺られる。





とっさの判断で放たれた
アレイスターのエネルギー波は
至近距離の錬に対して
かなりの威力だった。








しかし、錬は
それすら容易く分解した。





錬「物足りない。」







次の瞬間、
錬のトンファーがアレイスターを
突き飛ばす。






アレイスター「がぁッは!!」







そしてさっき投げた
錬のもう一本のトンファーが
アレイスターの真後ろから飛んでくる。





アレイスターは瞬時に身体を
反らしてトンファーをかわす。







だが、
急に結界を張ったはずの
地中から鎖が飛び出し、
アレイスターを捕まえる。






錬は、
アレイスターが攻撃を受けた
わずかな間に地中の結界を分解していた。




酸素濃度は高くなったが、両手両足を縛られた
アレイスターは炎を出すことが
出来なかった。









錬「チェックよ。」







ドドドドドッ!!!!!






地中から無数の槍や剣が
飛び出す。








無限の剣勢―






錬にためらいは無い。







  クロサメ
錬「黒雨―!」











無数の黒い雨がアレイスターを
襲う。








ズガガガガガッ!!!!!!!!!!!!!!!!!










稲瀬「クロちゃんッ!!!」










アレイスターは結界を
張っていたが長くは
持たない様子だった。










錬「行けッ!!」







黒い雨は加速する。







アレイスター(もう持たんッ―。)






結界は破れ、
アレイスターはその時、まさに
無防備の状態となった。






錬は
トドメの一本を錬成する。










錬「終わりよッ!!!」










放たれた槍。



アレイスターは眼を閉じた。









アレイスター「これが、
償いか―。」












バシュッ―!!!!!












槍は、
アレイスターの寸前で止まる。











奈波「神楽―!」









その槍は、
神楽の手によって
粉砕される。










千代女「あの瞬間に神楽を出したか。」







稲瀬「いいえ、
クロちゃんは神楽を呼んでいないわ。



神楽は今、
自分の意志でクロちゃんを護ったのよ。」



















アレイスター「何故だ神楽!?


お前は、
私を恨んでいるんじゃ
ないのか…!?




滝城を滅ぼす
きっかけとなった私を、


錬を独りにした
原因である私を…。」












錬「それは、
私があんたを殺したら、
次には私が
殺されるからでしょう。」









アレイスター「何を…?」








錬「鈍感ね…。


出て来れば、月花。」












錬に
答えるように風が吹き、
物陰から月花の姿が
現われる。








アレイスター「いつから
いたんだ月花?



私と錬のケジメに手は
出すなと言った
ハズだぞ!!」








月花「はい。

この勝負に手を出す気は
在りません。





しかし、
もしもクロウリーが錬に
殺されるという事態が
起こった場合、


私は迷わず滝城錬を
殺すでしょう。」








錬「そういう事よ館長。


私がトンファーを手に
取ったときから私に向けてものすごい殺気が
漂ってくるから、
ひょっとしてと思ってね。




よくよく考えればそれは
当然な事。


大事な人が殺されて、
復讐しようと思う、
それはとても当然な事。




だからそこに誰が
潜んでいるのかは見当が
付いた。」











アレイスター「しかし…、

それなら君は月花の殺意に気付いていながらも
私との勝負を続けたというワケか…!?」








錬「ええ、
実際…殺す寸前まで
行ったしね。



館長を殺した後、
独りでのうのうと生きようなんて考えてなかった。




だから、
私がもしあんたを殺して、その後月花に殺されても、それでもいいと思った。」







アレイスター「死を覚悟してまで、何故そこまでして
この勝負にこだわるんだ?

錬ッ!?」









錬「言ったでしょう。


これは『喧嘩』。
勝敗条件なんて無いの。




それに私も神楽も、
もう館長を恨んでなんか
いないわ。

許しはしないけど…。




今は感謝ぐらいしている。

だから、
これからもそういう関係で在りたい。




だから、
今は館長と全力で
ケジメ付けたい。


本当にそれだけ…。」

















アレイスター「怖かったんだ…。」






アレイスターは口を開く。







アレイスター「私はッ…

今日が来るのがずっと
怖かったんだッ!!」











当時協会にいたアレイスターは
ひたすら魔術の勉強に
明け暮れていた。



日が経つに連れ、
どんどん上の階級の魔術を目指すようになっていく。

だが、
上に進めば進むほど魔術の危険性は高くなる。




その危険な魔術を扱うためアレイスターには、
協会での『昇格』が
課題となっていた。






そんなとき、
アレイスターに滝城抹殺の任務が舞い込んできた。



アレイスターにとってそれは
またと無い
昇格のチャンスと共に、
『賢者の石』という
未だ出会った事の無い
領域との遭遇の場でも
あった。





アレイスターはそれを直ぐに
引き受けた。


滝城のスパイとなり、
配達人としてその日
起こった出来事を
その日のうちに協会に
伝える。


当然、
稜洛が滝城錬という
『人造人間』を
製造した事も…。








『人造人間の製造』―。



協会はそれを理由に
滝城抹殺計画を
実行に移す。



アレイスターは全ての事を協会に通達した後、
昇格証明書と共に
しばらくの休暇などを
与えられたが、
賢者の石と人造人間―、
その両方をこの眼で
確かめたくなり、
『滝城抹殺』の翌朝に
錬が住んでいた町を
訪れた。













そこには、
何も無かった。





いや、
正確には町が無かった。



もはやそこは、
世界の一部ですらない、
地獄と化していた。





地面は、
恐らく錬に分解された
モノ達の血液で紅く
覆い尽くされ、
サビた鉄のような生臭さが広がる。



アレイスターは
その光景を目撃し、
絶句した。

その日のうちに何度も
嘔吐した。









『賢者の石は、
悪魔の石でもある。』





当時、アレイスターは賢者の石を知らなすぎた。































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