三十四話
三十四話 少女と少女のこれから






気が付くと、
晴れた空。


ただそれだけが視界に
入った。





全身が痛い。







錬「私…
負けたんだ。」







仰向けに倒れている錬に
アレイスターが近寄る。






アレイスター「そうだ錬。

私の勝ちだ。」








錬「やっぱり、
本気のあんたは強いわ。


完敗ね…。」







アレイスター「これで
良かったのか、錬?」








錬「うん。


もう十分よ館長。
十分ぶつかり合えた。



これで私は、
これからも
ちゃんと生きていける。」






アレイスター「困ったな…。


こんな時、
君になんて声をかけたら
良いか分からない。」







錬「『ありがとう。』で
いいんじゃない…?」






アレイスターは一瞬喉の辺りが
熱くなる。






アレイスター「…。


そうだな、
ありがとう錬。

これで私はこれからも
生きていける。」






錬「今日の記憶を
消したりしたら許さないんだからね。」






アレイスター「約束しよう。

今日の事は忘れない。
絶対に。」










錬「一つだけ、
言わしてもらうわ…。」






アレイスター「何だ?」







錬はニッコリと笑う。






錬「どんなに償ったって、



一生許して
あげないからッ!!」







アレイスターも笑う。



正直、
その言葉の本当の意味が
よく分からなかった。






でもアレイスターはその言葉で、錬と自分の距離がとても
近くなったのを感じた。





























そして一ヶ月―。





紅魔館にて。














レミリア「ご苦労さま。

はい、今月の報酬。」






そこには紅魔館の工事の
報酬を受け取る錬がいた。





   テッコウジョ
『滝城鉄工所』―。





錬は紅魔湖の近くの
森の中に鉄工所を構えて
いた。









錬「報酬…少なくない?」






咲夜「もとはと言えば
あんた達が屋敷を
メチャクチャにしたんで
しょうが。」






錬「それは
そうなんだけど…。



当初の予定だと
二日前には工事が
終わるはずなのに…。」








フランドール「いっくよー!!」





美鈴「フラン様、
ちょっと待って!!」








ズガーーン!!!!!









錬「何で日に日に屋敷が
ボロボロに…!?」






レミリア「…不可抗力よ。


あの子、
外へ出るつもりかしら?



咲夜、フランに日傘を
持たせてきなさい。」





咲夜「かしこまりました。」






錬「仕方ない。
まだ生活に困らないだけ
マシね。

私も帰るわ。



明日は私非番だから、
妹さんを
暴れさせちゃダメよ。」








レミリア「了解したわ。



ああ、そうそう。
今夜博麗神社で宴会が
あるのよ。


あんた達も来なさいな。」




























望月家―






錬「ただいま。」





奈波「お疲れ。」






錬「まったくよ…。」






滝城鉄工所の近くには、
望月家の屋敷が
建っている。





錬、奈波、稲瀬、千代女の四人が住んでいる。


アレイスター、月花、リュカーは
なんでも妖月館を
そのまま幻想郷のはずれに
・・・
移して、
そこに住んでいる。



どうやってあの巨大な
屋敷を幻想郷に移動させたのだろうか…。









錬「千代女、
夕飯の支度手伝うわ。」






千代女「かたじけない。

では
リンゴのかわ剥きを…。」





錬「そういえば今夜、
博麗神社で宴会がある
みたいよ。」






稲瀬「あら、
楽しそうじゃない。」





奈波「服着ろ稲瀬。

宴会に参加する前に
風邪引くぞ。」






稲瀬は風呂から上がった
ばかりのようだ。





錬は顔を紅く染めて
下を向く。






稲瀬「仕方ないじゃない。

ここ(幻想郷)の夏は
暑すぎるんだもの。



錬もそう思うでしょ?」






錬「服を着なさい!」






稲瀬「もう、
ケチなんだから…。」






錬(どこが?)










錬達は、
日が沈んで辺りが
暗くなる頃を目安に
神社へ向かった。



























小悪魔「パチュリー様は宴会に行かれないのですか?」






パチュリー「そういうのは
苦手なのよ。


あんたは何で
行かないのかしら?」






小悪魔「…そういうのは
苦手ですから。」






パチュリー「…だと思ったわ。




今夜は賢者の石の話を
してあげる。


小悪魔、
図書館の入口の
       ・・
扉の向こう側に客人が
いるわ。


入れてちょうだい。」









小悪魔は図書館の大きな
扉を開ける。






小悪魔「どうぞ、
お入りください。」







リュカー「…、

いつから
気付いてたのよ?」





パチュリー「さあね。


いいから入りなさい。」
























リュカー「色々と聞きたいことがあるわ。


どうしてあんなに
『完全な賢者の石』を
否定していたの?



別に私達、
悪用する気は無かったのに…。」






パチュリー「じゃあ質問するわ。


完全な賢者の石、
貴方にとってそれは何?」





リュカー「…完全な物質。」






パチュリー「そうよ。

その通り、
完全な賢者の石とは、
完全な物質を意味する。




じゃあもう一つ、

それはどんな姿形を
していると思う?」






リュカー「分からないわよ。

見たことないんだもの。」





パチュリー「分からない…。

そう、それが答えよ。」






リュカー「は?」






パチュリー「いい?

完全な物質の形なんて
誰にも分からないの。





それが固体か、液体か、
気体かなんて
誰にも分からないのよ。





結論を言うとね、
『完全な物質』なんて
モノは、
この世界に存在しては
いけないの。」







リュカー「何故?」







パチュリー「この世界はね、
『不完全』というルールの上に成り立ってるの。





モノは壊れる。

花は枯れる。

水は乾く。

人は死ぬ。





この世界にはね、
『完全なモノ』なんて
一つも存在しないのよ。





完全な賢者の石が
存在するということは、

世界のルールそのものの
否定を意味する。





今ここでそんなものを
作ったら、
幻想郷だけじゃない、
世界が全て崩壊するわ。」






リュカー「…何?

じゃあ私達はそんなに
危なっかしいモノを
作ろうとしていたの?」






パチュリー「そんな簡単に
作れるものじゃないわ。



それに、
作ろうとした時点で
抑止力が働くわ。

あの魔術師がどうなるかは…分かるでしょ?」







リュカー「じゃあもう一つ、


私は…人間に戻れるの?」





パチュリー「残念だけれど、
時間は戻らない。


貴方は狼人間のまま…。」





リュカー「『時間旅行』は
魔法の一つでしょ?


それはあんたの魔法でも
ダメなの?」






パチュリー「私の魔法は
自然に関する七色のチカラが中心なの。


時間に
関しては専門外よ。」






リュカー「そう…。」






パチュリー「他に
聞きたいことは?」






リュカー「無いわ、もう十分。


邪魔したわね。」






パチュリー「…待ちなさい。」






リュカー「何?」






パチュリー「うちの小悪魔が
今お茶を入れるから
飲んでいくといいわ。」






リュカー「…。」






リュカーは足を止める。






リュカー「まあ、
それも悪くないわ。」







本棚の影で
小悪魔はホッとして
お茶を入れていた。


































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