氷龍詩集

《最後のバスケットボール》
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《第三話:始まり》







部活が終わって一息ついてから、家に帰るまでがまた地獄である。夕方といえど、とにかく暑い。さらにはセミの鳴き声が暑さを際立たせている。


帰ってからはゲームをするのが楽しみである。


勉強は………いや、この話題には触れないでおこう。


今やっているのは、ポケモンダイヤモンド。知らない人はいないだろう。ポケモンは子供の頃から続けている1番好きなゲームだ。


学校帰りにいつものコンビニで、スポーツドリンクとおにぎりを買って行くのが日課である。たまに新商品が出ていると必ず手が伸びてしまう(笑)


夏には朝からアイスを買ったりもする。あまり社交的でない俺でも顔なじみになり、世間話くらいはするようになった。


ある日、いつものように店員さんと


「今日も暑いね」


などと話しをしていた時


「なんだか今日は顔色悪いね?夏風邪でもひいた?」


「そうですか?いや…風邪はひいてないですけど…低血圧なんで血行が悪いかも(笑)」


「低血圧なの?(笑)なんともないならいいけど、体調管理はちゃんとしておかないと。試合、近いんでしょ?」


「はい。2週間後です。」


「頑張ってね。それまで体調崩さないように。」


「ありがとうございます。」


と会話をし、コンビニを出た。
夏の夕方は夕日が進行方向にあって眩しい。


「ただいま。」


「お帰り。あんた顔色悪いよ?」


俺の顔を見るなり、姉ちゃんが真面目な顔で言う。


「さっき店員さんにも言われた。」


「風邪?あ、馬鹿は風邪ひかないか。」


「うるせー!俺は馬鹿じゃない!普通だ!」


「たまにはさっさとお風呂入って早く寝なさい。お母さん今日も遅くなるからご飯作っといたから。」


「無視かっ!?」


この通り、姉はかなりサバサバした性格で人の話しを聞いてない。だが、しっかり者で、面倒見がいい本当は優しい姉なのだ。


ま、どーせ風邪だろうとは思ったが、試合の時に悪くなるわけにはいかないので、早く寝る事にした。


今日は見たいテレビもないし。


しかし、暑い。
眠れない。クーラーなどという贅沢品は俺の部屋にはないのだ。

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