僕の特等席。 校庭が優雅に見過ごせる窓際 一番後ろ。 この席は、教室中のみんなを見渡せる。 またあいつは、手紙を書いている。 授業中にそっと窓を開けた。 この微妙な静かな空気と にごった空気を換えたくて。 そっと静かに鍵をあけ、窓を少しだけ開けた。 ブワッと風が僕の頬を撫でた。 気持ちよくって、もうちょっとだけ窓を開けた。 プリントが、ゆらゆらと宙を舞った。 放課後、僕は自分の特等席へとやってきた。 授業中と同じように、静かに鍵をあけて 窓をゆっくりと開けた。 春の匂いが鼻を突いた。 また、風が僕の頬を撫でる。 居た・・・。 部活中の、一生懸命走る彼女が居た。 陸上部に入っている彼女は、他の人より少し 足が速かった。 彼女は位置について、そっと手を地面につけて クラウチングスタートの姿勢に入った。 先生のよーい、の合図。 彼女は、少し腰をあげ、前のめりになった。 大きな笛の音がした。 その瞬間彼女は地面を勢いよく蹴った。 その走りは、誰よりも速く そして、大きく ゆったりと―・・ その時、また大きく風がブワッと吹いた。 僕は見た。 風の色――・・・、 オレンジに光る 風を見た。 砂を運ぶ、吹き抜ける、風を見た。 その中を、突き抜けるように、髪をなびかせ一生懸命走り続ける 彼女を見た。 [先頭ﾍﾟｰｼﾞを開く] [指定ﾍﾟｰｼﾞを開く] ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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