泣きじゃくる僕に そっと、ふりかかった。 この、温かいもののは、 何？ 踏み切りの前で ひざまずいて 両手で顔をおおい その手と手の隙間からは そっと 光ったものが 頬へと伝った 大声をあげ 鼻をすする音。 その僕に そっとふりかかったもの。 僕は、そっと眼を開けた。 泣いてたせいか、少しだけ 目の前が見にくかった。 僕の右肩にかかった手を 僕は、そっと触れた。 おそるおそる、振り向いた。 「泣かないで。けんちゃん・・・。」 笑顔でそういいながらも、 泣きそうな顔をして 死んだはずの、彼女が そっと言った。 なぜだ・・・・っ 君はここで・・・ ここで・・・・っ また、涙が出てきた。 目の前に居る彼女が だんだん歪んできた。 嬉しいのか、哀しい気持ちなのか わからない。 君が目の前にいる。 それだけで、僕は安心して 嬉しかった。 けど あの時、僕が救う事は出来なかったのか？ 僕の、何も出来ない哀れさに また、僕は涙した。 君に出会ってなければ・・・ 僕はこんなに 泣く事はなかったかもしれないのに・・。 君を、離したくない。 そんな思いが自分の中に かけめぐる。 僕は、そっと肩にのっている手を 握ろうとした。 その時、 僕の手からスルスルと なびくように、君の手が僕の手から 逃げていった。 待って・・っ!!!!! 僕はさらに手を伸ばした けれど、彼女は そっと笑って 「けんちゃん――・・・」 と、つぶやくように、そっと言って、消えていった。 僕が、こんなに泣く事が 僕が、こんなに悲しむ事が 辛いと思うなら 同じくらい 君の笑顔が、 君のてが、 温かいと思える。 泣く事をとるか、君のてをとるか。 そう考えたら、未来の別れなんか 考えずに 君のてを握りたい。 [先頭ﾍﾟｰｼﾞを開く] [指定ﾍﾟｰｼﾞを開く] ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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